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横尾弘一の「野球とともに生きている」season3
何通ものラブレターを書く毎日
「ライターってどんな職業ですか?」

学生と話をすると、そう必ず聞かれる。

僕は「毎日ラブレターを書く仕事です」と答えます。

取材をさせてくださったチーム、選手、監督に対して

愛情を込めて書く。読者の方々に対しても愛情を込めて書く。

愛情を込めるからこそ、深夜になっても納得するまで書いては直す。

僕の愛情が伝わるように。

プロ野球選手名鑑では、すべての監督、コーチ、選手についてひと言書く。

とても短い文章だけれど、

短いからこそ、どう愛情を込めるかに苦心することも多い。

正直言って、好きじゃないタイプの指導者もいるし、選手もいる。

シーズン中はインタビューもしたくないくらい好きじゃない人も。

でも、選手名鑑の時だけは愛情を込める。

「もっと真面目に野球と向き合ってください」

「保身ばかり考えずに、選手を大切にしてあげてください」

そうやって、好きじゃない人にもどうにか愛情を込めて書く。

ひとりとして、手は抜けない。

「そんな細かい仕事に、それほどの時間をかけるなんて」

そう笑う同業者もいる。

でも、この仕事をバカみたいに一生懸命にやっているからこそ、

ペナントレースを真剣に観られるということを僕は肌で知っている。

また、この仕事をバカみたいに一生懸命にやっているからこそ、

野球ライターでいられるのだとも思っている。

そうした姿勢を教えてくれたのも落合博満さんだった。

この仕事を初めて13年目。つまり、僕のフリーランスとしての

キャリアとイコール。今の僕があるのも、落合さんとこの仕事のおかげだ。

年を跨ぎ、元日にも取り組むこの仕事は、

毎日、何通ものラブレターを書いているようなものかもしれない。

齢を重ねてくると、キツいのも確か。

でも、やめられない理由がある。

時々、そのラブレターの返事が来るからだ。

「あの名鑑のコメント、横尾さんが書いてるんですね。

『一軍は射程圏内だ』と書いてくれた通り、何とか一軍に定着できました」

球場でバッタリ会った選手からそう言われること。

ネット書店のレビューに、

「選手の特徴がわかりやすく書いてありました」

と読者が書き込んでくれること。

そういう細やかな反応をエネルギーにして、僕は仕事を続けています。

喜助のテールスープ

今晩も、『喜助』のテールスープで体を温めながら、

せっせとラブレターを書いています。
コメント
コメント
納得!
興味をそそりわかりやすい文章を書くということに力を注ぐだけのライターが、到底横尾さんに近づけないわけです。野球に真剣に向き合っているからこそ、好きじゃない人にも愛情をこめたメッセージが書けるわけですね。
何ページにもわたるインタヴューと異なり限られたスペースにできるだけの愛情をこめる仕事って素晴らしいですね。
2011/12/18(日) 02:02:36 | URL | Zonnetje #79D/WHSg [ 編集 ]
Re:納得!(12/16)
Zonnetjeさん

そんなこともないんですよ。
誰にでも認められる文才があればいいけど、
僕のような平凡な人間が物を書く仕事についたら、
ひたすら馬力と愛情でやっていくしかないのです。
2011/12/18(日) 18:42:37 | URL | 横尾弘一 #79D/WHSg [ 編集 ]
感銘
横尾さん、おつかれさまです!
いいですね、「ラブレター」という表現。
文才が無いなんて、とんでもないですね!(^^)

私も取引先や先輩、後輩にメールで仕事の話をしなければならないときは、「愛情」を込めて書いてみようと思いました。
どんな厳しい要求や、困難な業務依頼をするときも相手への愛情と自分の仕事への情熱を込めて出せば・・・
今までより、【伝わる】気がしてきました!

なにか、スッキリした気持ちです。
ありがとうございます☆
2011/12/19(月) 16:26:36 | URL | yo-naga #79D/WHSg [ 編集 ]
Re:感銘(12/16)
yo-nagaさん

こちらこそ、ご丁寧な書き込みを
ありがとうございます。
2011/12/21(水) 17:19:59 | URL | 横尾弘一 #79D/WHSg [ 編集 ]
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